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A社の場合 第3話 ⇒ 『実録!二代目奮闘記』

A社の場合 第3話 ⇒ 『実録!二代目奮闘記』
 第2話からの続き

疲弊しきった会社に、一筋の僅かな光が射しました。

母親の訴えで、大学を卒業して家電大企業に勤めていた長男が急遽入社いたしました。

「碌な仕事も、社会も知らぬお前が入社しても、会社の再建はでき無い!」と、長男を巻込みたくなかった社長は入社に反対しましたが、
「丁稚奉公に行って、帰ってみたら会社が無かったと言うなら意味がない。」
と、強引に長男が入社してきました。

ここから『A社の場合』は、『実録!二代目奮闘記』と題を改めます。

A社は赤城山工業とでもしておきましょうか。
長男の名前は、赤城山忠志君。

入社した忠志君は、右も左も判りません。
唯々工場の中を見て廻る毎日が続きました。

また、役員会議に出席して意味の解らない議事を聞く毎日でした。

その間、忠志君はひたすら猛勉強をしました。
学生の時は、あんなに勉強嫌いでしたが、簿記、経営法務士育成講座(商法・税法・労働基準法・民事)、若手経営者育成講座(経営計画の立て方)、原価管理、などなど。

ある日、会議で不採算の仕事を撤退することになりました。が、実は個々の製品が不採算かどうか明確な資料がありません。
そこで、社長から初めて忠志君に仕事の命令が下りました。

「3日間で全製品の採算を証明せよ。」

初めての仕事で緊張が走る忠志君でしたが、これは、大変な命令でした。
何と、製品点数は2,000点有ったのです。

さて、困りました。

先輩や担当者も、材料費の算出方法や、外注費などの個々の計算は教えてくれますが、採算証明(個別標準原価計算・戸別実績原価計算)の資料はありません。

簿記の損益計算書を個別原価表に応用して様式を作成して見ました。
また、県が主催する若手経営者育成講座で教わった損益分岐点の算出方法を個別原価に応用し、限界利益率から逆算して個別売価の採算点を把握し、実売価と比較させました。

この方法で、3日間一睡もせず2,000点の採算証明と目標売価の設定を完了しました。

そして、1週間の間に社長は主要得意先を訪問し、売価見直しをお願いしたのです。

職人気質の社長は、『一度決めた売価は、二度と変えない。』が信条でした。
然し、毎年二桁で賃金が上昇する高度成長の此の時代には無理なことでした。

素晴しい技術に支えられた職人魂と、無知が招いた赤字だったのです。

同時に高度成長の善き時代でもありましたから、全てのお得意様が
『赤城さん、馬鹿だなあ、早く言ってくれれば良かったのに。』と快く売価見直しをしてくれました。

でも実は、時代の背景とは別に、赤城社長の生真面目さが危機を救ったことを、此の時、忠志君はまだ解りませんでした。

『実録!二代目奮闘記』と題を変えて、続く










 
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